土俵を揺るがした先駆者・旭鷲山が激白!波乱の現在と角界の真実
旭 鷲山――その四股名が放っていた熱狂を、かつての土俵を知る者なら忘れようがない。まわしを引く指先の感覚、砂煙の匂い、そして館内を包む耳をつんざくような怒号と歓声。1990年代、閉ざされていた伝統の扉をこじ開け、モンゴル出身力士として初の幕内昇進を果たした男だ。「技のデパート・モンゴル支店」と呼ばれ、変幻自在の足技や奇策で巨漢たちをきりきり舞いさせた姿は、単なる一力士の活躍を超え、ひとつの文化現象ですらあった。
異国の伝統儀礼に体一つで飛び込み、数々の逆境を乗り越えてきた旭 鷲山の足跡は、いまなお日本のスポーツ史に強烈な陰影を残している。現役引退から歳月が流れた今、彼はどこで何を見つめているのか。母国での政界進出、相撲界を揺るがした数々の騒動、そして国境を跨いだビジネス。激動の半生を歩んできたパイオニアの「現在」と、これまで明かされることのなかった真実に迫る。
異国の地で切り拓いたパイオニアの道――大島部屋への入門と偏見の壁

1992年の春、まだ社会主義の余韻が色濃く残るモンゴルから、6人の少年が成田空港に降り立った。その中に、後に元小結・旭鷲山昇となる18歳の若武者の姿があった。行き先は元大関・旭國が率いる大島部屋。当時の日本相撲協会にとっても、モンゴルという未知の国からの集団入門は前代未聞の試みだった。
言葉が通じない。箸の持ち方も、風呂の入り方も、土俵上の礼儀作法もわからない。米の味に馴染めず、部屋を抜け出して逃亡を図った夜もあった。しかし、彼らは戻ってきた。ただ生き抜くために、そして故郷の家族に仕送りをするために。旭鷲山昇が見せた驚異的な身のこなしと、モンゴル相撲(ボフ)仕込みの内掛けや外掛けは、力任せの相撲が主流だった幕内上位に強烈な一石を投じた。それは大相撲の歴史が大きく舵を切った瞬間だった。
因縁と激闘の土俵裏――朝青龍明徳との確執とモンゴル勢の台頭

旭鷲山が切り拓いた獣道は、やがて太い幹線道路となり、後続の怪物を呼び寄せた。その頂点に君臨したのが、第68代横綱・朝青龍明徳である。同じモンゴル出身でありながら、2人の関係は常に緊張を孕んでいた。土俵上での激しい睨み合い、取組後の小競り合い、そして支度部屋での騒動――。NHK大相撲中継のカメラが捉えきれなかった緊迫した空気は、今もファンの記憶に生々しく焼き付いている。
「あの頃の土俵は戦場だった」。後年、関係者はそう振り返る。ABEMAの大相撲配信などで過去の取組がアーカイブ化され、若い世代のファンの間でも当時の激突が再注目されているが、そこにあったのは単なる同郷同士のライバル関係ではない。先駆者としての自負と、後から来た圧倒的な天才による世代交代の摩擦。その摩擦熱こそが、当時の角界を空前の盛り上がりへと押し上げた原動力だった。
政界進出から現在へ――モンゴル国家大会議の議員生活と実業家の顔

2006年の引退後、旭鷲山が選んだ次なるリングは政治の世界だった。2008年、母国の総選挙に出馬し、モンゴル国家大会議(国会)の議員に初当選を果たす。大相撲の元関取が外国の国会議員になるという前代未聞のキャリアは、日本とモンゴルの双方に大きな衝撃を与えた。
議員時代は日本企業との橋渡し役やインフラ整備、鉱山資源の開発に関わるなど精力的に活動。しかし、政治の世界もまた権謀術数が渦巻く冷酷な場所だった。政敵からのバッシングやビジネスを巡るトラブル、さまざまな疑惑報道に晒されながらも、彼は持ち前のバイタリティで生き抜いてきた。角界で培った「どんなに投げ飛ばされても立ち上がる」精神は、政財界の荒波でも遺憾なく発揮されていたのである。
【独占追跡】元小結・旭鷲山の現在と真相――最新プロジェクトの全貌
波乱万丈のキャリアを経て、現在の彼はどのような生活を送っているのか。ウランバートルと東京を往復する多忙な日々のなか、彼が今最も情熱を注いでいるのが、日本とモンゴルの未来を担う人材育成事業だ。水面下で進められている新たなスポーツアカデミー設立構想は、単なる相撲の技術指導にとどまらず、両国の文化交流と語学教育を融合させたかつてない規模の計画となっている。
「相撲に育ててもらった恩を、両国の架け橋となる子供たちに返したい」。関係筋への取材で浮かび上がったのは、過去の金銭トラブルやゴシップ報道を乗り越え、教育者・プロデューサーとして次世代を見据える実業家の姿だ。砂まみれの稽古場で培ったハングリー精神は、いま教育とスポーツビジネスという新たなフィールドで確かな果実を結ぼうとしている。この重厚な歩みは、ひとつの良質なスポーツノンフィクションとして後世に語り継がれるべき軌跡だ。
ポップカルチャーが再評価する土俵のリアリズム――Netflix『サンクチュアリ -聖域-』との共鳴
近年、相撲界の光と影を描いたNetflixオリジナルドラマ『サンクチュアリ -聖域-』が世界的なヒットを記録した。伝統の重圧、過酷な部屋制度、理不尽な上下関係、そして土俵にすがる力士たちの泥臭い生き様――。劇中で描かれたリアルな相撲部屋の空気感に、多くの視聴者が息を呑んだ。
この作品を観て、旭鷲山らモンゴル第一世代の苦闘を重ね合わせたファンは少なくない。言葉の通じない異国で、文化の違いに翻弄されながらも土俵の頂を目指した彼らの姿は、まさにドラマ以上の壮絶なドラマだった。虚飾を剥ぎ取ったエンターテインメントが評価される時代だからこそ、彼が歩んできた泥だらけの道程が、本物の人物ドキュメンタリーとして再評価されている。
国境を越えた先駆者が遺したもの――次世代に託す「大相撲」の未来
旭鷲山が日本相撲協会の門を叩いてから30年以上が経過した。彼が開拓した道を通って白鵬、日馬富士、鶴竜、照ノ富士といった大横綱たちが誕生し、大相撲は世界中から注目を集める国際的スポーツへと進化した。そのすべての始まりに、背番号のない一人のモンゴル人青年がいた事実は揺るがない。
土俵際で見せた奇想天外な技の数々。引退後のスキャンダルや政治闘争。毀誉褒貶相半ばするその人生は、常に予定調和を拒み続けた男の証だ。枠組みに収まりきらないエネルギーで時代を駆け抜けたパイオニアは、いま静かに、しかし力強く次世代へのバトンを握り直している。 (出典: 旭 鷲山(Yahoo!ニュース))