昭和天皇も愛した究極の味!松島屋の豆大福を確実に手に入れる術
松島屋 豆 大福を求めて、朝の冷気が残る坂道を急ぐ。白金高輪の閑静な住宅街に佇む老舗の前には、すでに数十人の影が伸びていた。大正7年の創業から100年余り、この地で手作りを守り続ける名店のショーケースは、開門と同時に目当ての品が飛ぶように売れていく。薄い餅皮から黒々と透ける赤えんどう豆、ずっしりとした重み。ひと口かじれば、ピンと立った塩気が粒餡の澄んだ甘みを一気に引き立て、舌の上で鮮烈な記憶に変わる。
東京中に数多ある和菓子店の中でも、この松島屋 豆 大福が放つオーラは別格だ。奇をてらった演出は何もない。ただ毎朝早くから餅を搗き、小豆を炊き、手際よく包む。その愚直なまでの反復が、多くの甘党や食通たちを惹きつけてやまない理由だ。
港区高輪の角に漂う小豆の薫香、100余年続く暖簾の矜持

港区高輪の閑静な一角。高松宮邸のすぐそばに店を構える松島屋は、日本の伝統的な和菓子製造・小売業の粋をそのまま体現したような佇まいを見せる。ビルが立ち並ぶ都心にあって、木造の温もりを残す店先にはどこか懐かしい空気が流れている。
朝一番に工房から立ち上る湯気と小豆の香り。全国和菓子協会が定義する伝統の製法に忠実でありながら、日々の気温や湿度に合わせて職人が手のひらで生地の弾力を確かめる。決して大量生産には走らない。手作業の限界を見極め、目の届く範囲で作り切るからこそ、生菓子本来の瑞々しい命が宿るのだ。
群林堂や瑞穂と並ぶ「東京三大豆大福」の頂点、その圧倒的な存在感

都内には名品と呼ばれる和菓子が数あれど、護国寺の群林堂、原宿の瑞穂、そして高輪の松島屋は「東京三大豆大福」として別格の扱いを受けてきた。三者三様の個性があり、豆のゴロゴロ感を前面に出す群林堂、上品なこし餡と厚みのある餅が美しい瑞穂に対し、松島屋の武器は「塩気と粒餡の絶妙なバランス」にある。
グルメレビューサイトの食べログでも極めて高い評価を維持し、「食べログ 和菓子・甘味処 百名店」の常連として全国から客を呼び寄せる。だが店主たちの表情に驕りは微塵もない。遠方から訪れる旅行者も、近所に住む常連客も、同じように紙袋を抱えて笑顔で去っていく。
昭和天皇をも魅了した「甘じょっぱさ」の黄金比と薄皮の秘密

かつて昭和天皇がこの味をこよなく愛し、お忍びや献上を通じて親しまれていたという逸話は、愛好家の間ではあまりにも有名だ。皇族の舌をも唸らせた理由は、ひと口でわかるその計算され尽くした味わいにある。
赤えんどう豆は芯までふっくらと煮上げられ、しっかりとした塩味を纏っている。これが、瑞々しく炊き上げられた十勝産小豆の粒餡と重なった瞬間、劇的な化学反応を起こす。砂糖の重さを感じさせない軽やかな後味。薄く伸ばされた餅皮は極限まで柔らかく、餡の旨味をダイレクトに口内へ解き放つ。
午前完売の行列を回避する予約裏ワザと最短ルート
開店前の行列に並んでも、平日の午前中、休日はさらに早い時間帯で看板が「完売」に切り替わることが日常茶飯事だ。せっかく足を運んだのに買えなかったという悲劇を避けるための鉄則は、実は非常にシンプルだ。それが「事前電話予約」である。
多くの人が当日朝の行列に飛びつく一方で、松島屋では数日前からの電話による取り置きを受け付けている。電話線が混み合う朝の時間帯を避け、前日や数日前の昼下がりに連絡を入れるのがスマートな予約術だ。受け取り時間を指定しておけば、長蛇の列の脇からスムーズに受け取ることができる。
アクセスは都営浅草線・京急線の泉岳寺駅、あるいは東京メトロ南北線・都営三田線の白金高輪駅から徒歩約8分。泉岳寺側の伊皿子坂を登るルートは勾配があるため、白金高輪駅の2番出口から桜坂方面へと抜けるルートが平坦で歩きやすい。確実に手に入れたいなら、予約を入れたうえで午前中にピックアップするのが鉄板だ。
一口で心奪われる職人技──当日中に食べるべき生菓子の真価
本物の餅米だけで搗かれた大福には、保存料などの添加物は一切入っていない。時間の経過とともに餅は確実に固くなり、夕方には朝のあの羽二重のような伸びが失われていく。だからこそ、消費期限は「当日限り」だ。
購入したら、できれば数時間以内に、温かい日本茶とともに味わってほしい。指先に吸い付くような餅の柔らかさ、豆のほのかな歯ごたえ、じわりと広がる塩気と小豆のコク。職人が毎朝夜明け前から命を吹き込むその一粒は、ただの甘味を超えて、日本の食文化が紡いできた贅沢な瞬間そのものなのだ。 (出典: 松島屋 豆 大福(Yahoo!ニュース))