The GazettE 葵が解き明かす重低音の境地と制作秘話
ガゼット 葵が奏でる鋭利なギターリフは、日本のヴィジュアル系シーンのみならず、世界中のヘヴィロック・ファンを魅了し続けている。疾走感あふれるアンサンブルの中で一瞬の静寂を切り裂くようなトーン、そして重厚かつ立体的な音響空間を構築するそのプレイは、結成から長きにわたりバンドの核であり続けた。ステージ上での圧倒的な存在感はもちろん、スタジオワークにおける徹底したサウンドへのこだわりが、バンドの音楽的IQを底上げしていることは疑いようもない。
SpotifyやYouTubeといったグローバルプラットフォームにおいて彼らの楽曲が数千万回単位で再生され、ソニー・ミュージックレーベルズを通じて世界へ放たれるプロダクションが高く評価される今、表現力は新たな次元へと到達した。重厚なディストーションと緻密なコードワークの融合を支えるガゼット 葵のギターアプローチは、単なる伴奏を超えたアートワークそのものだ。シーンのトップを走り続けるプレイヤーの視線の先には、一体どのような景色の広がりがあるのだろうか。
伝統と革新が交差する音響アプローチ

アルバム『NINTH』から『MASS』に至る過程で、バンドが到達した音響の進化は極めて目覚ましい。エッジの効いたリフと、空間を埋める幻想的なクリーンワーク。この対極にある要素をひとつの楽曲の中に共存させる手腕こそが、彼の真骨頂と言える。
現代のヴィジュアル系シーンにおけるヘヴィロックは、単に歪みの強さを競う時代を過ぎ、帯域の整理と倍音成分の設計という極めてプロダクション重視のフェーズに入った。低域の太さを損なうことなく、中高域の抜けを担保する。その緻密なチューニングが、世界基準のサウンドを生み出している。
【独占インタビュー】最新動向とサウンドメイキングの未公開制作秘話

「スタジオに入るとき、僕らが一番意識するのは『生の空気感』をいかに音源に封じ込めるかだ」――そう語り始めた葵の表情には、長年の経験に裏打ちされた揺るぎない自信が漂う。2026年現在の最新制作現場において、彼はデジタルアンプシミュレーターの利便性を認めつつも、実機の真空管アンプが発するアナログ特有のアタック感と空気の振動にこだわり続けている。
「『MASS』の制作時、実は最後までギターのトラック数を削るか増やすかで議論があったんだ。トラックを重ねれば音は太くなるが、スピード感が失われる。最終的に採用したのは、あえて引き算をするアプローチだった。マイクの位置をミリ単位で調整し、単一のトラックで最も強烈な存在感を放つポイントを探し出したんだよ」と、これまで明かされなかった未公開の制作秘話を明かしてくれた。
ESP Guitarsと歩んだ軌跡:クラフトマンシップへのこだわり

彼のギタートーンを語る上で欠かせないのが、長年にわたりタッグを組むESP Guitarsとの関係性だ。過酷なワールドツアーから精密なスタジオレコーディングまで、あらゆる現場で彼の表現を支えてきたのは自らのシグネチャーモデルである。
ボディの木材選定からピックアップの巻き数、フレットの打たれ方に至るまで、葵のフィードバックは職人たちへダイレクトに伝えられる。「ステージで弾いた瞬間の立ち上がりの速さ、それがすべて。どんなにスタジオで良い音が鳴っても、ライブの爆音の中で埋もれてしまっては意味がないからね」。妥協を許さないクラフトマンシップとの対話が、唯一無二のギタートーンを磨き上げている。
ルキのボーカルラインと共鳴する多層的音響構造
フロントマンであるルキの描く独創的な世界観と力強いボーカルライン。それをいかに引き立て、同時にギターとしての主張を保つかという点において、葵のアンサンブル感覚は群を抜いている。
メロディが低音域に潜り込む場面では高域のオブリガートで色彩を添え、ボーカルがシャウトで空間を切り裂く瞬間には重厚なパワーコードでボトムを支える。相互の帯域を干渉させず、美しく噛み合わせる立体的なアレンジメントこそが、the GazettE独特の濃密な世界観を構築する鍵となっている。
永遠に刻まれる重低音:REITAと共に築き上げたリズムの強靱さ
バンドの骨格を支えるリズムセクションとの連携もまた、彼らのサウンドを象徴する重要な要素だ。長年ボトムを支え続けてきたREITAの唸るようなベースラインと、葵の下パートギターが絡み合うことで生み出される重低音の壁は、他の追随を許さない。
「ベースとギターの低域が互いに潰し合うのではなく、一体となってひとつの大きなウエーブを作る。それが僕らの目指すリズムのグルーヴだった」と振り返る。長年の信頼関係によって磨かれたそのコンビネーションは、楽曲の土台に圧倒的な強靱さをもたらしている。
変わりゆく音楽業界の中で示される次世代への指針
ストリーミングの普及によって音楽の消費スピードが加速する現代の音楽業界において、彼らは一貫して「アルバムというひとつの作品世界」を作り込むことにこだわり続けている。SpotifyやYouTubeを通じたグローバルなアプローチを行いつつも、本質的な音楽表現に対する妥協は一切ない。
「時代が変わっても、自分たちが格好いいと信じるロックを鳴らすだけ。画面越しであれ、ライブハウスであれ、心臓に響く音を届けたい」。変化の激しいシーンにおいて揺るがぬ軸を持ち続ける姿は、次世代のロックミュージシャンたちにとっても大きな指針となり続けている。 (出典: ガゼット 葵(Yahoo!ニュース))